第一回ベンチャー大賞開催報告

決勝大会

1. 結果概要

(1) 総応募数    70チーム
(2) プラン提出数  学生部門:26プラン
          社会人部門:25プラン
(3) 優勝チーム   学生部門:Team Doc Travel
          ~在日外国人のための遠隔医療相談アプリ~
          社会人部門:Ltaste
          ~新規な減塩技術「ソルトチップ」の事業化~

2. 当日の様子

シンポジウムの様子

演題: 産学官の視点から考える健康医療領域における大学発ベンチャーの役割
シンポジスト:江崎禎英 氏(経済産業省 ヘルスケア産業課長)
       関山和秀 氏(Spiber株式会社 取締役兼代表執行役)
       岡野栄之 氏(慶應義塾大学医学部長)
モデレーター:坪田一男 氏(知財・産業連携タスクフォース委員長)

シンポジウムの様子

冒頭で坪田氏より大学におけるイノベーション創出の必要性をお話し頂きました。教育基本法の改正により大学の役割にイノベーション創出が加わり、社会から大学に対するイノベーション創出の要請が強まり、多くの資金が供給されるようになってきているとのことです。

続いて健康医療領域におけるベンチャーの役割について3名のシンポジストそれぞれのお立場からお話し頂きました。岡野氏はベンチャーのスピード感や創業者のイニシアティブの重要性を、江崎氏からは特に医療分野での制度の古さのためにベンチャーの常識を超えることのできる能力の重要性を、関山氏からは研究者としての立場に比べてベンチャーの資金調達のしやすさを、強調されました。

また岡野氏は知財創出における大学の役割について、特許申請から企業へのライセンシング、また法規制に関する交渉まで、総合大学としてすべての力を使って研究から知財を生み出すことであるとコメントされました。

江崎氏は健康医療領域におけるベンチャーの活性化のシナリオについて、きちんとした医学的常識に基づくこと、そこから生まれた成果を論文に留まらず、幅広い分野で応用し一般の方の役に立てるの重要性をお話し頂きました。
関山氏は実際にベンチャーを立ち上げた立場から、最初の信用力の無いフェーズでの苦労と、その後の信用の積み重ねで軌道に乗ったエピソードをお話し頂きました。

決勝大会の様子

決勝プレゼンテーションでは、70の応募チームから見事書類審査を通過された10チームによるプレゼンテーションが行われました。

学生部門の5チームは、応募された段階ではアイディアこそ素晴らしいものの事業計画の細部は荒削りな部分が多く見られましたが、2ヶ月のブラッシュアップ・メンタリングを経てより洗練された、患者・現場のニーズを捉えたものとなっていきました。7分間という限られた時間ではありましたが、チームごとの事業への想いの丈が伝わってくる、若さが漲る熱いプレゼンでありました。
質疑応答では実装する上での技術的なハードルの御指摘のほか、様々な分野で長年の経験を積まれてきた審査員の先生ならではの現場の問題の一筋縄では解決されない煩雑さなどについて、示唆に富むご指摘を頂きました。

社会人部門のチームは既に起業されているないしローンチまで秒読み状態のプランがほとんどで、審査員との質疑も専門性が高く、現実味を帯びたやり取りが多くありました。
また大学院の研究室にて開発された新規技術によるテックドリブンな、アカデミア発のベンチャーならではの着想も目立ち、会場全体が出場チームの近未来に対する熱意で包まれました。

表彰式の様子

厳正な審査の結果、慶應イノベーション・イニシアティブ(2016年に設立された慶應発のベンチャーキャピタル)社長である山岸広太郎審査委員長より審査結果が発表されました。

学生部門最優秀賞を獲得したのは、チーム「Doc travel」(慶應義塾大学医学部 大木将平氏ら)。彼らのプランは、“おもてなし医療“をモットーに、訪日外国人に対して、アプリを使用した多言語対応型の遠隔医療相談サービスを提供するというものです。
医学部の2年生を主体としたチームで、学生部門の中でも最年少のチームでありましたが、時流を捉えたことはもちろん、学生ならではの柔軟さが勝因となりました。

そして社会人部門を制したのは、独自の減塩技術を商品化した“ソルトチップ”を提案したチーム「Ltaste」(慶應義塾大学大学院 理工学研究科 総合デザイン工学専攻 博士課程の東和彦氏ら)。人間が塩味を感じる部分(舌の「味蕾(みらい)」と呼ばれる器官)に接することのできる歯の裏に、微量の食塩を含む“ソルトチップ”を貼り付けることで、チップに触れた味蕾は、塩味を感じとるという仕組みです。この技術は、国内外で特許を出願済み。さらに、2017年3月に東京都内の病院で心臓病患者を対象にした実証研究を始めています。また、チップ単体での販売にとどまらず、ソルトチップを使って美味しく食べられる食事の「レシピ開発を含めたトータル(ソリューション)で売りたい」と東氏は話しています。確固たる研究成果に裏打ちされた、まさに大学発ベンチャーの王道として優勝の栄冠を獲得しました。

素晴らしい10チームの出場はもちろんですが、21世紀はじめの医療・IT・技術開発など各分野を代表される先生方を審査員にお迎えできたことは慶應医学部発ベンチャー100社創出に向けて類まれな機会であり、慶應義塾の若者の熱意・先駆者たる先生方の後進への想いに感謝の念が耐えませんでした。

社会人部門 最優秀賞に輝いたチーム「Ltaste」
社会人部門 最優秀賞に輝いたチーム「Ltaste」
日本マイクロソフト賞を獲得したチーム「Epigno」
日本マイクロソフト賞を獲得したチーム「Epigno」
学生部門を制したチーム「Doc travel」
学生部門を制したチーム 「Doc travel」

3. 来場者アンケート

来場者アンケート