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社会インフラを支えるIT企業として、医療の未来に挑む──AIとサイバーセキュリティで新たな価値を創出するIDグループ

12 時間前
読了時間: 8分

株式会社 IDホールディングス 執行役員 事業戦略部長 荒木靖博様

株式会社インフォメーション・ディベロプメント シニアフェロー 玉越元啓様

慶應義塾大学医学部 医科学研究連携推進センター 特任助教 松長卓志

慶應義塾大学医学部 5年 藤村理音

インタビュー日:2026年6月9日


IDグループは、1969年の創業以来、半世紀以上にわたり金融、エネルギー、航空、製造など、日本を代表する大企業のシステムを支え続けてきた総合IT企業です。近年は強固なセキュリティ技術や最先端のAIノウハウを駆使し、AIマスキングソリューション「ID-AI Masky™」の開発をはじめ、医療分野への展開を積極的に進めています。社会インフラの「屋台骨」を担う同社が、なぜ健康医療ベンチャー大賞に協賛し、次世代の挑戦者を支援するのか。そこには自らの技術で医療課題を解決したいという使命感と原体験がありました。本記事では、未来の医療を創る挑戦者への同社の熱い想いに迫ります。



企業・事業紹介


──事業内容や会社の歴史、そして現在の強みについてお聞かせください。


 私たちIDグループは、東証プライム市場上場の持株会社「株式会社IDホールディングス」を親会社とし、1969年の創業から56年の歴史を持つ総合情報サービス企業です。元々は大手金融機関のデータ入力事業からスタートしました。そこから時代のニーズに合わせて事業を拡大し、現在ではシステムマネジメントからアプリケーション開発、ITインフラ、サイバーセキュリティ、コンサルティング・教育まで、一連のサービスをワンストップで提供しています。


全売上の約9割を占める中核子会社「株式会社インフォメーション・ディベロプメント(略称:ID)」は、お客様から親しみを込めて「IDさん」と呼ばれています。私たちの最大の強みは、日本を代表する大企業のシステムを裏側でしっかりと支えている点にあります。売上の4割超を占める銀行や保険会社といった金融機関をはじめ、ガスや電力などのエネルギー産業、エアラインなどの運輸業、大手自動車メーカーなどの製造業における基幹システムの開発・運用を手掛けています。表舞台に立つ機会は多くありませんが、日本の社会インフラの「屋台骨」をITの力で支えているという自負があります。


近年、注力事業領域と位置づけているのが「ITインフラ」「サイバーセキュリティ」「コンサルティング」の3つです。クラウドサービスの利用が当たり前となる中、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド環境の構築ニーズが高まっています。私たちは強固なインフラ基盤を提供するとともに、急増するサイバー攻撃からお客様を守るセキュリティ支援に力を注いでいます。



医療・ヘルスケアへの取り組み


──社会インフラを広範に支えられている中で、医療・ヘルスケア領域におけるIT活用については、現在どのような取り組みをされているのでしょうか。


 医療分野においては、大きく「守り」と「攻め」の二つの側面からアプローチしています。


まず「守り」の側面ですが、システムの運用を担うシステムマネジメント事業本部を通じて、医療機関のIT部門のサポート業務を行っています。昨今、医療機関をターゲットにしたサイバー攻撃が深刻な社会問題となっています。私たちは、患者様の極めて機微な個人情報を守るためのセキュリティ支援や、安定したインフラ整備を提供しており、これが医療現場を支える最も重要な基盤の一つだと認識しています。


一方で「攻め」の側面として、先進的な技術を用いた取り組みも進めています。コンサルティング事業本部内にあるAIに特化した専門部隊が持つ高度なノウハウを活用し、従来型のITサービスに新たな付加価値をつけるための研究開発を行っています。単にインフラを裏方として支えるだけでなく、ITの力でより直接的な社会貢献を果たしていきたいという思いが根底にあります。


具体的な事例として、鳥取大学医学部附属病院の整形外科様と5年ほど前から共同研究を行っています。私たちが持つAIを中心とした画像解析のスキルを活用し、変形性膝関節症の画像特徴解析に取り組むほか、レントゲン写真の解析技術を用いた診断支援技術の提供など、最前線の課題解決に向けたアプローチを進めています。インフラやセキュリティで足元を固めつつ、AI画像解析などのデジタルヘルス技術で新たな価値を提供する。この両輪で、医療課題に向き合っています。また、医療データの利活用と個人情報保護の両立を支援するため、AIを活用したマスキングソリューション「ID-AI Masky™」の開発・提供も進めています。医療機関や研究機関において、画像や文書に含まれる個人情報の匿名化作業は大きな負担となっていますが、こうした課題をテクノロジーで解決し、医療DXの推進に貢献したいと考えています。




健康医療ベンチャー大賞への想い


──貴社が「健康医療ベンチャー大賞」にご協賛いただいた経緯や、そこに込められた想いをお聞かせください。


 直接のきっかけとなったのは、約2年前に入会した慶應義塾大学のCRIK信濃町(Center for Research and Incubation, Keio University)です。医療現場のリアルな課題に触れ、新しいサービスを創出するヒントを得るために参加したのですが、そこで大学病院や学部の関係者の皆様と深く交流させていただく中で、このベンチャー大賞の存在を知りました。

私たち自身も事業会社として、自社の事業とシナジーが見込めるベンチャー企業への投資活動を行っています。スタートアップ企業や学生の皆さんが提案する新しい医療ビジネスのアイデアを直接学び、自分たちの視野を広げる場としてご支援させていただきたいと思ったのが協賛の大きな理由です。


また、私自身の原体験も今回の協賛に対する思いに強く結びついています。実は10年ほど前、私は網膜剥離になりかけたことがあります。昔の医療水準であれば失明してしまってもおかしくない状態でしたが、医療技術の素晴らしい発展のおかげで日帰り手術を受けることができ、今も何不自由なく生活を送れています。


その時、「医療の発展によって救われる人生が確実にある」ということを、身をもって痛感しました。自分がこれまで培ってきたITの技術や知識を、これからの未来を創る若い人たちに引き継ぎたい。そして、彼らが新たな医療を確立するための助けになれたら、これほど嬉しいことはありません。私たちが持つリソースを提供することで、少しでも次世代の研究が先に進む手助けができればと考えています。



健康医療ベンチャー大賞に参加して感じたこと


──昨年、初めてご協賛いただき、実際のプレゼンテーションなどをご覧になってどのようなことを感じられましたか。


昨年の準決勝のプレゼンテーションを拝見して、参加者の皆様の圧倒的な熱意と、発表内容のレベルの高さに非常に驚かされました。創薬などの極めて専門的なお話については少しついていけない部分もありましたが、最先端の医療課題に対して皆様がどのようなアプローチで解決を試みているのかを知ることができ、非常に良い学びの場となりました。


また、発表の中にはITやデジタル技術を活用したソリューションも複数あり、私たちが普段行っているシステム開発やAIの活動に通じる部分があって大変面白く拝見しました。ITという共通言語を通じて、将来的に何か新しい協業の可能性を探れるのではないかとワクワクしました。


今後の期待や要望としては、私たち協賛企業の事業内容や提供できる強みについて、参加者の皆様にもう少し深く知っていただく場があれば嬉しいと感じています。

例えば、私たちが提供している医療機関向けAIマスキングソリューション「ID-AI Masky™」があります。医療機関におけるDX推進や、医療データの安全かつ効率的な利活用を支援するために開発したソリューションです。これは元々、病院からの直接のリクエストを受けて開発したもので、医療現場のバックヤードで確実にお役に立てるものです。医療従事者の方々の個人情報保護への対応や、匿名化作業にかかる負荷、運用面での課題などの作業負担を軽減し、本来の医療行為に集中していただくために、私たちが持つITのノウハウをもっと知っていただき、活用していただきたいと願っています。


ビジネスコンテストにおいて、特に学生の皆さんが事業化計画や収益モデルまで完璧に立てて評価を受けるというのは、非常にハードルが高いことだと思います。ですので、まずは「世の中を変える革新的なアイデア」で勝負していただきたいです。


そのアイデアをどう形にするか、事業化や開発環境の整備といった実務的な部分については、協賛している私たちのような「大人を頼っていただく」のが良いのではないかと思います。大企業だからと遠慮する必要は全くありません。困ったことがあれば、ぜひ私たちIT企業を頼ってください。テクノロジーの進化が速い中でキャッチアップしていくのは大変だと思いますが、皆様の熱い期待に応えられる環境やノウハウは用意できると思っています。


皆さんが今真剣に考えているアイデアや研究が、将来の自分自身や家族が直面する医療の現場で、必ず役立つ日が来ると確信しています。将来、私たち自身が皆さんの生み出したサービスに助けてもらう日が来るのです。


その未来の社会を創るために、健康医療ベンチャー大賞という素晴らしい舞台を存分に活用していただきたいと思います。私たちIDグループも、単なるスポンサーとしてではなく、皆様と共に悩み、テクノロジーの力で新たな医療の形を創り上げるパートナーでありたいと願っています。未来の医療を共に切り拓く、素晴らしい挑戦者の方々にお会いできることを楽しみにしています。






 
 
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